『和歌の修辞法(学研)』

 東進ゼミナール客員講師である荻野文子先生の著書。
 古文入試で時折、読解の鍵や出題箇所となる和歌を特集。
1. 概要
 和歌は31字と字数に制限が設けられているため、その中で多くの要素を詰め込まなければならなかった。その制限が多数の技法を生み出した。しかし、その技法が意味を読み取ることを困難にしている。
 その技法こそが修辞法と呼ばれるものである。修辞法はより多くの内容を一種の中に盛り込むために用いられる。よって修辞法を理解することが和歌の読解には欠かせない。
 まず、基本4修辞法(枕詞・掛詞・序詞・縁語)を取り上げ、ついでマイナーな修辞法を取り上げていく。
2. 構成
 全6章構成。
  第1章は枕詞。ここは基礎事項をしっかりと暗記することが必要である。
  第2章は掛詞。読解の視点を身につける。
  第3章は序詞。パターンを理解する。
  第4章は縁語。論理的思考で解いていく。
  第5章は総合演習。前4章で学習したことの総復習。
  第6章はその他の修辞。折句、本歌取り、倒置、体言止め、物名を取り扱う。
 各章は基礎知識編でどのような修辞法かを説明、次いで例題とその詳細な解説で考え方を身につける。
 暗記する事項はまとめて掲載されている。
 巻末には例題などで用いられた和歌を分類し、一覧表にして示した。
3. 評価
(1) 長所
 和歌本の中では取り組みやすい。
 暗記すべきところ、理解すべきところが分かりやすい。
 解答の導き方も身につく。
 最後の一覧表で効率的な総復習が可能。
(2) 短所
 古文の基礎力をある程度要する。
(3) 総合評価と感想
 個人的にはあんまり使わなかったマドンナシリーズの中で使った本の一つ。古文常識と並んで、こういったものを特集しているものが少ないという理由もあるのですけど。
 本格的な読解に入る前や、どうも和歌に対してピンと来ないという時にはやることをお勧めします。
 期間は長くても1ヶ月。さっさとやれば1週間から2週間で終わる。
 83点といったところにしておきます。すぐに終わるし、私は十分お勧めできると考えます。

和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文 (大学受験超基礎シリーズ)

和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文 (大学受験超基礎シリーズ)