『得点奪取 漢文(河合出版)』

 河合出版から出ている記述対策シリーズの一つ。
 二次私大に頻出の記述問題に対応するための本。
1. 概要
 センター試験に代表される選択式と二次私大に代表される記述式、この本では後者の特に一部分のみを専門に取り扱う。
 記述式設問の焦点となる「現代語訳・解釈」及び「説明問題」の取り組み方、解答の導き方を、例題や練習問題、解説などによって身につけ、練磨していくことを目標とする。
2. 構成
 本体は2部構成、別冊で練習問題の解答・解説がある。
 第一部の典型問題編では出題形式を以下の4つに分類し、それぞれに対する方針、解答を導き出すための指針を示した。
  「現代語訳・解釈」、「内容説明」、「理由説明」、「主旨・趣旨説明」の4つ。
  それぞれ、設問の解き方→例題→解答・解説・答案添削の順で書かれている。
 第二部の練習問題編は合計で11題あり、テーマ別に分類されている。解答・解説は別冊に収録されている。解説では度々記述のポイントを示し、正しい答案へ導くための適切なツール選びを意識付けている。全訳や書き下し、出典解説などかなり詳細に書かれている。解答では採点基準が存在し、自主採点も可能になっている。
3. 評価
(1) 長所
 記述式設問にたいして、分かりやすく解き方、考え方を示している。
 パターンやまとめ方まで詳しい。
 練習問題を通じて、しっかりと記述のポイントを意識できるようになる。
 問題数は多くないので取り組みやすい。
(2) 短所
 最低でも『早覚え』レベルの知識を要求される。
(3) 総合評価と感想
 薄いし、問題数もそれほどないので取り組みやすい。
 といっても、抑えるところは抑えてあり、決して手抜きなわけでない。記述に対するための技法は十分な内容が収められている。
 ただ全体の難易度はそれほど高くないので、難問に対しては少々苦労する可能性もある。
 1ヶ月ほどで完成できるはず、そのあとか顧問演習を行えば十分な実力を得られるだろう。
 85点。もう少し問題数があってもいいかもしれないけど、そこは受験者自身で補える。

得点奪取漢文―記述対策 (河合塾SERIES)

得点奪取漢文―記述対策 (河合塾SERIES)