『きめる!センター国語 現代文(学研)』

 以前河合塾、現在代々木ゼミナール所属の船口明先生の著書。
 センター現代文の名著とされています。
1. 概要
 センター現代文とはどのようなものであるのか、どのような力が問われているのか。
 センターには特有の出題パターンがある。
 評論では設問からポイントを抑える、選択肢のパターンを見つける。
 小説では今までの着眼の発想を転換し、それから分析的な読解法が必要とされる。
 この本でそれを学習し、演習編で身に付ける。
2. 構成
 3部構成。第0部がセンター現代文に関する概要説明。以下第1部の評論、第2部の小説。
 第1部は評論分析編。オリエンテーションでセンター評論の概要を提示する。第1章で出題パターンの解析、3つの視点を手に入れる。第2章は傍線部問題、出題パターン別攻略法、3つのポイントで設問を解く技術を手に入れる。第3章は全体把握型問題の解析を行い、解法を示す。
 第2部は小説分析編。オリエンテーションで「曖昧」な小説読解、所謂「心情把握」とは何かを示す。第1章で小説問題攻略の全体的イメージと心情把握の2つのパターンを提示。第2章で設問パターン別の攻略法、セリフを問う問題と表現を問う問題の解き方を出す。
3. 評価
(1) 長所
 センター現代文の読み方、センター現代文の解き方がわかりやすく示されている。
 評論の読む視点、解く視点が明確。
 小説の解き方が明確、挟み撃ちにして解くという方法がよい。
(2) 短所
 ある程度の現代文の力を前提とする。
 時間がかかる。付け焼刃的な本ではない。
(3) 総合評価と感想
 評判が高いのも納得といった感じ。現役時代には東京出版の本を使いましたが、今一解法の羅列に留まって、どのようにそれを運用すればいいのかが不明確だと思いました。
 この本は、その点きちんと整理されており、身に付ければ現代文の能力がそのまま上がっていくことに好感が持てます。
 ただある程度、最低でも『入試現代文へのアクセス』を終わらせたぐらいでないと、いっていることが分からない可能性があります。
 大体一ヶ月ほど身に付けるまでかかるので、時間が無い方や理系でそれほど現代文を重視しない方は先に挙げた東京出版の『センター試験解法マニュアル』をやってください。
 個人的には、この本で身に付けた読み方は、センター以外でも通用すると思っています。気に入った場合は同著者の『「読」と「解」のストラテジー』へと進んでみてもいいと考えます。こちらは記述用の参考書ですが。
 ある程度点は取れるけど……センターをしっかり解きたいという方は課っていいのではと思います。今回は90点です。
4. 演習編について
 本編の理解を前提としており、読解法の示し方は簡潔です。
 パターン別問題が20題、評論が8題、小説が12題載っています。1題に掲載されているのは1問だけです。
 実戦問題が4題あります。評論が2題、小説が2題です。センターで換算すると2年分に当たります。解説は詳しいです。しかし、もう少し問題を解く必要があるので、過去問をあと2〜3年分やったほうがいいと考えます。
 こちらは80点。もう少し問題数が多いと良かったのですが、でもそれだと分厚くなりすぎるんでしょうね。

きめる!センター国語 (現代文) センター試験V BOOKS (4) 新課程

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演習編きめる!センター国語 (現代文) (センター試験V BOOKS (4))

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