『富井の古文読解をはじめからていねいに(東進ブックス)』

 東進ハイスクール所属富井健二講師の参考書。
 文法・単語と合わせて、必要な古文能力を獲得できる。
 やっぱり同校の荻野・板野両氏よりもがっちりと正統派っぽい本です。
1. 概略
 原則的に古典文法の習得が前提。
 読解マニュアルの習得による古文読解力の向上が図れる。
 別冊の読解マニュアルは一目でわかりやすいようにビジュアル化。
 猫やらのかわいいイラストに加え、RPG調にすることで物語っぽくしました。
2. 構成
 基本的な読解法、常識、ジャンル別攻略法、実戦演習の4章で構成。
 一つのステップで一項目を取り扱い、解説と問題演習が組まれている。要点は別冊にまとめられており、随時参照しながら読み進められる。
3. 評価
(1) 長所

  • 読解に必要な事項がきちんと収められている。
  • 別冊のまとめがいい。持ち運びが楽なため、最後まで付き合うことが出来る。
  • 紙質が改善された。
  • 古文常識も視覚化されて理解が進みやすい。
  • ジャンル別の読み方の要点とそれに合わせた文学史

(2) 短所

  • 読解に必要な基礎事項を全部詰め込んだため中途半端な面。
  • 到達度が少し低い、問題演習の量を増やす必要がある。
  • 正直あんまり物語調にする必要があったのか……
  • 広告ウザイ。

(3) 総合評価と感想
 読解本としては十分の出来。でも少し物足りないといった感じです。読解は『古文解釈はじめの一歩』と同じだし、古文常識は以前紹介したZ会の速読古文常識よりも物足りないし、といった面があります。
 でも一冊にまとまっているのが好きならこちらでも。到達点は『古文解釈の方法』よりも低いです。まあ仕方ないけどね。
 紙質が良くなったのはページが減少したからでしょうが、とにかく○です。別冊がフルカラーなのも記憶に残りやすくていい。
 全体的にいいけど突き抜けてはいないといった本。80点が良く似合うといったところでしょうか。悪くは無いんだけどね……。

富井の古文読解をはじめからていねいに (東進ブックス―気鋭の講師シリーズ)

富井の古文読解をはじめからていねいに (東進ブックス―気鋭の講師シリーズ)