『センゴク天正記』第7巻 宮下英樹(著)

 今回の内容は、雑賀攻めから手取川の戦いへの導入まで。
 今回の内容は主に2つ。

  1. オリジナルキャラである妙算の因縁整理
  2. 新しい合戦について


1.妙算について
 今回のハイライトとなるべくは、やはり妙算の因縁でしょう。
 雑賀孫市を師匠としながら、根来と雑賀の争いに飽き飽きして出奔。現在は巡り巡って織田家に所属した妙算。彼の置かれた特異な立ち位置こそ、今回の話を主導しています。
 彼の存在によって、雑賀孫市という、ともすれば当て所もない登場人物を際だたせることが出来ています。
 もし妙算がいなかった場合、実際のゲリラのように孫市の存在が霞を掴むようなものとなっていたでしょう。
 その点に置いて、今回のオリキャラ設定は成功といって良いものでした。


 結局、主も捨てれず、師も撃てずの妙算。これからどうなっていくのかがまた興味が沸いてきました。


 そして、今巻では、格好良い「童貞」の使い方が描かれています。
 ぜひ真似して使ってみましょう。反応は保証しません。


2. 新しい合戦の形
(1)守り勝つ戦術
 銃を並べ、敵の進軍を防ぐような罠を設置し集中放火する。
 これにより、従来と異なって攻めるのが格段に難しくなった。
 この鉄砲戦術を今後どのように攻略するのかが楽しみです。

(2)合戦以外の手段による戦い
 楽市楽座、往来の自由、荷物検査の廃止、通行人の今日性的な一泊などの政策により、信長は下から削ろうともくろみます。
 大名同士の争いではなく、大名を支える土台である民に働きかけることで、力を手にしていこうとする戦略です。 その中でも関所無しの荷物検査廃止が一番重要だと思われます。往来を完全自由化することで、人が自由に出入りし、より豊かな土地への移動を促進する。
 ちょうど、ベルリンの壁が崩壊し東から西への移動が発生したようなことが起きるわけです。
 

 根本から刈り取っていく戦略、ある意味合戦よりも残酷な戦い方に思えます。


3. その他の話
 宮下先生の描く女性が段々かわいくなってきました。
 特に小さい女の子が。
 振る舞いやマセ方など、通常マンガでよく見られる大人びた感じではなく、ちょうど年相応の動きをしているところが良いと思います。


 本願寺とは何だったのか。
 天正記に入ってから良いとこ無しな気がします。
 独楽で遊べる世の中やがな、ぐらいに。
 もう少し良いとこはないのかなあ。



 とこんなわけで次は手取川
 連載版では地均しも終え、いよいよ戦い間近といったところ。
 信長の狂気も徐々にがっつり見えてきて、信長の話も段々と終わりに近づいてきているのかなと思えます。
 って言っても、まだまだ先は長そうなんですけど。
 ライフワーク化してきたセンゴク。いったいいつ終わらせられるんだろう。


 ではでは〜

センゴク天正記(7) (ヤンマガKCスペシャル)

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