『ToLOVEる −とらぶる−』16巻限定版のDVDアニメ「とらぶる☆くえすと」

 中々上手に調和させた一本でした。
 纏め方もオリジナルの入れ方もほとんど文句をつける場所がありません。
 そんな結構良い出来だった今回のTo LOVEるOVA第4巻です。


1. 話の内容
 まず内容です。
 大体原作版と同じと考えていただいて問題は無いでしょう。
 時間的な問題と繋ぎの問題があって、ところどころ順序は変わっていますが、大本の変更はありません。
 ここでは、違いについて取り上げていきます。


(1)導入
 アニメではいきなり戦闘シーンから入ります。
 原作でいうくえすと編第2話の途中からです。
 「ププリン」などのパートを経て、一応戦闘終了。


 ここで大魔王キョーコの城に。
 風呂に入っているのはそのまま。
 ただ、ここで、ナナとモモが早々に正体を明かしています。原作だと謎の存在っぽかったのが、一目見て分かるぐらいの変装に。
 この後も何回か登場させるという理由で、デザインを変更したのでしょう。
 事実、何回か登場しますが、中々いいアクセントになっているかと。
 そしてサブタイトルへ。
 で導入編は終了。

(2)Aパート
 原作3話から始め、回想で原作1話と2話前半に。
 アニメ版の順序は、リトが巻き込まれ、春菜と美柑に合流、3人が先に転職の後、唯が継いで合流。唯転職です。
 大分変更が加えられていますが、転職パートの時間を多く取ったのはむしろ高評価。良い改変と言えます。
 ただ、一つだけ作画ミスがw それが下のです。

 唯が合流したときには、リトは既に花屋に転職しているわけです(これだと単なるパンチラですけど一応転職シーン)。でも制服のまんまというミス。まったくもってどうでもいいですね。
 そして回想終了。


 原作3話に再び戻り、次の町へ。
 ここでオリジナルが挿入されます。
 なぜかカジノに行って、里沙未央と出会います。カジノに行く理由は分からんけどまあ良し。
 ここで、ずっと気になっている呼称問題。里沙未央揃って唯を「唯」と呼ぶのですが、「古手川さん」だと思うんですけど……。アニメ版だとずっとそうなっているのかしら? まあ下の名前で呼んでも違和感がさほど無い2人ではあるんですが。
 原作どおり宿屋へ。するとそこに御門先生が。設定変更したみたいです。正直下唇の口紅がキャラデザの幼さとあってない気がします。すっきりさせた方がいいのでは?
 「御門の誘惑→リトの妄想」後、原作どおり宿泊へ。
 風呂シーン3枚。どうせ他のサイトで上がるのでうちでは省略。
 たびたび思うのは、なぜか風呂場の美柑はやたらアグレッシブです。謎。


 で、お休みタイム。リトがソファーを廊下に運びます。
 原作ではそのままソファーが廊下にありましたけど、よく考えればちょっと変ですよねw
 自然な形になったと思います。
 そしてきちんと残してあった美柑の台詞
 「この際だから、一緒に寝てもいいけど……」
 私「脚本さんさすがですね」脚本「それほどでもない」
 無かったら無いで、私の怒りが有頂天だったのですので良かった良かった。

 表情変化も押さえてあります。この何とも言えん複雑な表情の作り方が美柑には重要なのであります。
 喜怒哀楽どれか単一ではちょっと物足りない。3つぐらい混合させてこそです。


 廊下で寝ると寒いです。
 というところに春菜が毛布を、次いで唯も。
 春菜は改変。唯はオリジナル。立て続けに送るのは変とも考えたけど、下のように対比が際立つのでOK。

 それにしても今回、絵に乱れが無いですね。3巻は荒れてたのに。


 でキョーコ登場。
 というところでAが終了。


(3)Bパート
 引き続きBへ。
 キョーコ登場からの流れはほぼ同じ。
 転送の際に、中ボスを倒す必要が無いこと、ヤミが出てこないことを除いてですね。
 そして、転送
 落ちると、リトの顔の上に春菜が。
 これもそうですが、原作構図をそのまま使っているのが今回多いですね。
 使えるものは使っとくのがいいと思いますのでそれほど問題なしです。自然な形で使えてますしね。


 大魔王の城に突入すると、そこにモンスターが。
 ここでヤミ登場。
 時間圧縮イベント圧縮です。
 階段を上ると沙姫他2人+ルン。ルンの設定変更で吟遊詩人に。まとめてギガププリンして登場終了。これまた時間圧縮。


 部屋に到着。
 キョーコとララを発見します。
 原作どおり、「好きとか嫌い君に伝えたい」なイベント発生。ヤミのキョーコへの攻撃はこの後に回した模様。
 あんまり尺を取らずに消化。つながりを作りづらいOVAならこのぐらいで十分だと思います。
 個人的には削っても仕方ないかな?と考えてもいたので。OVA単体でここまで持ってくるのもなあという考えですね。


 原作どおり、キョーコが燃やし始め、リトがジョウロを天にかざして、キョーコを倒します。
 そしてナナとモモが正体を明かしました。
 そして終わりへ。
 というところでここからオリジナル展開に。


(4)Bパート最後のオリ展開
 さほど問題ない作り。
 ただ、前後の事実関係がちょっと狂っています。
 転送スイッチがキョーコのバグに奪われ、巨大キョーコが登場
 職業が召喚士であるナナとモモが召喚したのが、マロンとセリーヌ
 そして、マロンとセリーヌを突撃させて、終わり。
 元の世界に戻ると、ナナとモモと同居することになっていましたとさ。
 おしまい。


2. 目立った点
(1)原作構図の使用
 先ほども書いたとおり、今回の使用頻度は普段より高めだったと思います。
 例えば、


 などです。
 他にもありますので、一つ一つ比べてみても面白いかもしれません。
 レイアウトを流用できれば、労力も特定の場所に集中できますし、原作読者から悪い印象を受けることもなくなりますし。
 繋がりがおかしくならない限りは、良いのではと考えてます。

(2)前後のアクティブな動き
 そしてもう一つ目立ったのが、前後への動き。特にBパートで目立ちました。
 例えば、
 キョーコ
 炎の魔法を唱えるまでに合計3回、人物よりカメラ中心で動いている感じです。



 ヤミ1つ目
 キョーコに切りつけるため飛び掛るシーン。2つのカメラを使用した感じの絵。一つは固定で正面から、切り替わって横から撮っているのかな?

 ヤミ2つ目
 後方へと下がるシーン。カメラはそのままでヤミが移動している。

 ナナ1つ目
 目でレンズを覗き込むような接写から、後方への移動。
 何だろう?と疑問の様子から、物の正体を知ってびっくり後ずさりしているのが良く感じられます。

 ナナ2つ目
 マロン召喚。ナナからカメラが遠ざかった後、ナナ自身が動いて前を通り過ぎている感じ?
 今回のは、その一部分で、ナナが前を通っているシーン。
 魔法少女の変身とかでもよくあるけど、これってどっちが動いてるんだろう?

 モモ
 上のナナと同じ。
 本当よく見るんですけど、うーん。その場で被写体が回っているのをズームして近づき、そして遠ざかって撮るのかなあ?
 分からんです。 

 とこれだけあります。


 寄せたり引いたりするカメラワークとキャラの前後への移動。瞬間的な勢いがついてて面白いなと。
 何でこんなにやったのかはよく分かりません。誰か教えてください。
 戦闘っぽいパートに入るための転調みたいなものでしょうか。RPGで言うと外を歩いているシーンから戦闘シーンへ移る感じ?
 ですが、一つ言えることはそれぞれキャラ特性を守った範囲で動かしており、アニメ特有の良さが活かされていました。
(3)謎なレベルの安定感
 第3巻でちょっとアレなところが目立ったのに。今回まったくないといってよかったですね。
 不思議です。
 いや、とても良いことですよ。もちろん喜ばしいことでありまする。


3. 感想
 出来は良好。
 3000円の価値はあるかと。
 大分新しいキャラデザもこなれてきた感じですし。内容に関しては文句がありません。
 次回も頑張っていただきたいですね。
 今回は上手くキャラ全員を使えたかと。もちろん原作に見るとおりの優劣は残っていますが。
 それと今回の唯はかわいすぎです。さすがの美柑も敗れました。




 私がポニーテール系が好きなのも多分にあるんでしょうけど。
 とにかく悶絶必至なので、唯好きの方は、ぜひ買ってねと言えます。
 逆にララの見せ場が無かったり。でも、実は抑え目に動かした方がララの魅力がよく出る気がします。
 いくら動かしやすいからって、動かしすぎると逆に魅力を損ねてしまいますので。
 ナナモモは良かったですね。ちょっとモモが初対面なのに近すぎないですかと思ったりもしますが、まあよいでしょう。


 最後に声の話。
 気になったのが、モモ役の豊崎さんですが、言葉遣いが一定で残念。
 モモならドス利かせた声が欲しいところなんですけど、大丈夫ですかねぇ。声優さんですしまず問題ないはずですが。
 ちょっぴり心配。今回1つぐらいそんな台詞があっても良かったかなと思いました。
 逆にキョーコ役の千葉さんはちょっと声の変わり方が激しすぎのような……。二面性を持った喋り方なのは確かですが、何か3種類ぐらい喋り方があって、違和感がありました。


 以上です。ではでは〜。
 ※ちょっと使いすぎたかなぁ。もう少し減らしたほうがいいかなぁ。ってか載せないのが一番なんだろうけど。
  本当に申し訳ありません。

To LOVEる -とらぶる- (16) (ジャンプコミックス)

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