『ゆびさきミルクティー』 第6、7、8、9巻 宮野ともちか(著)

 連載再開で単行本も発売。
 そんなわけで私も未購入分併せて買ってきました。
 第1巻が出たときも書店で見つからずうろちょろし、結局第2刷で涙を呑んだのですが、今回も中々見つからず正直途方に暮れました。
 まあ、最近の書店で手に入れられたけど。凄く灯台下暗し。ただ、6,7巻は別の場所で購入。
 んなこともあってようやく揃った漫画。本棚の端に埋もれていた既購入分も引っ張り出してきて、一週読んでみました。


 率直に言うと「面白かったです」
 でも、やっぱり自分の中では1巻収録分で完結してるな、とも思いました。
 タイトルである『ゆびさきミルクティー
 私のイメージとしては冷めた水面に指を触れさせて波紋を作る。
 その波紋は周囲に影響を与えるけど、カップという限界があって、やがて元の静かな水面に戻る。
 連載分はその繰り返し。繰り返せば繰り返すほど少しずつ量は減っていくし、「汚れ」ていく。
 そして、最終的には何も無くなってしまう。
 そんな感じ。
 どこまで行っても1巻の鮮烈さに戻りきれない。いや、時が経ち、変化しているのだから、絶対戻れない。


 それでも、面白いことは確かです。
 モノローグを中心とした1話1話の話の作り方、焦点を絞って進めることでボンヤリとした表現が少なく読みやすい。数多くの迷言など盛り上げ方も上手で、話の落としどころも良くわきまえている。登場人物の行動や思考も丁寧に描かれているので、「アタマオカシイ」行動であっても違和感がない。
 全体を見ても、さりげなく登場人物にほとんど無駄がない。伏線もきちんきちんと回収されている。まあ、やたらと不良というかDQNというか、「あるある」的な若い奴らが出てきてはあしらわれというのもあるんですけど。
 読んでて、エロシーン(全くエロくないんですがw)も含めて「面白い」と感じられます。


 ここから話を変えて。
 ところで由紀の駄目主人公っぷりは尋常じゃないですね。
 主人公の女装が可愛かったり、倒錯しまくってたりするのを除くと、相当なレベル。正直終わってると言っても過言では無いかと。
 『君望』の孝之くんレベルじゃないですかね。悪くするとこいつよりも駄目なのでは。
 物語としても作中時間でもう1年以上経過しているわけです。決してギャグエロコメじゃないのにこの駄目駄目さ加減は凄い。
 それでいて、あまり駄目っぽく見せないあたりも凄い。作者凄い。
 登場人物の関係がどこまで行っても「ゆびさきミルクティー」なところに原因があるのでしょうか。
 第9巻終わりでひだりが中学卒業間近の卒業旅行。さすがにもうそろそろ決着がつきそうです。
 ここで決着しないと更に1年ぐらい引っ張ることに……。こうなると、「限りなく透明でささやかなストーリー」を維持するのはさすがに無理じゃないのかな……。
 光源氏的発想をしても、手を出さない方が危ないレベル。亘エンドにでもしたいのならそれでも問題はなさそうですがw
 これからどう纏めるかに期待せざるを得ないですね。

ゆびさきミルクティー 8 (ジェッツコミックス)

ゆびさきミルクティー 8 (ジェッツコミックス)

ゆびさきミルクティー 9 (ジェッツコミックス)

ゆびさきミルクティー 9 (ジェッツコミックス)