メモ――「監督をつくる〜プロダクションI.Gの戦略」

以下全て敬称略



答があるものと答のないもの
 →答のないものは不安を生む
 →不安と希望は常に1つであり離すことは出来ない
 →付き合い方を学ぶ必要がある

押井守は常々欲が必要と言っている。その欲とは金、名誉、異性。
しかし、欲は1つでなければならない。2つあると不幸になる

人間関係に疲れるのは正面きって相対してしまうから。寛容さと細心さを持てば疲れることも減る

答は自分の中にあると考えてはいけない。常に相手の中にあると考える。そうすれば、疲れないし気楽、なにより物事が進みやすい。

監督とプロデューサーの関係≠監督とマネージャーの関係
→プロデューサーとは、1人でできないことをさせる。つまり周囲の環境を作ることが仕事
イエスマンではない

作品作りについて
最初は口を出す→環境を作るため
そのかわり、中身については監督がやって良い
環境を作るために必要な要素
・言い争える仲
・信頼関係→定義:最初に相談を受ける、逆境に強い、人望がある
仲の良さ≠信頼関係≠頭の良さ
例) 石川と押井の関係――互いに尊敬しているが喧々諤々に議論する
なぜ環境を作るか
→結果を出すため(リクープするため)
→押井がアニメだと結果を残しているが、実写や舞台、ラジオでは結果を残していないのは、環境をつくらずに野放図にやらしてしまっているから
押井「石川は、私の企画を1本しか通していない」
→通した企画とは『立喰師列伝』(イノセンスのときに約束してしまったから)
→それも、制作費をとことん削ることを条件にOK

一緒にやるには
→仲良し、ではなく、厳しく結果を出させることが必要

押井と向き合うとき――答は石川の中ではなく、押井にある
例えば、会議では、事前に思ったことを言うのではない。というか言いたいことはない
→逆に押井を怒らせることにより最終的な答えを導く
→信頼関係と逆境への経験から生まれた技術で話し合う
→最後には冷静に話し合い、答えへと落ち着かせる

環境を作るとは=土台を作ること
→土台がしっかりしていないものはつくらない。中途半端に終わるため
→なぜか。プロデューサーはスタッフと作品を守らなければならないから。作品を守るには結果を出せるものに仕上げなければならないから

上場後について――皆が良いと思った方向には注意する
→株主は拡大路線を要求するが、あえて生き残るために何をするかを大切にしてきた。そのために、人のふんどしで相撲をとることも必要
例)攻殻機動隊――当初は下請け、後に対等関係になるためライセンスを許諾してもらった

石川の仕事とは――10個企画を持ち込まれたら、9個断るのが仕事
→でもそれだとプロデューサーが育たない
 →中武「戦国BASARA」、和田「君に届け」など
 →成功により大きくなった

身の丈を大事にして次のステップに向かう
→一歩一歩大きくしていく
→「目標は小さく、夢は大きく」
→目標が大きいと挫折も多くなる。ハードルを下げて身の丈をすこしずつ大きくしていく

相手に答えがある→向きあう
→点が線になり面となる
→最初と最後は石川が決める。中は喧々諤々で良い

冲方丁に、インテルのCMのようにスタープレーヤーを作る人が世の中を動かす、といったようなことを言われた。これがプロデューサーの仕事

夢中であれば、その中に何かが見える
人が嫌がる仕事に取り組めば、みんなが喜ぶ
→仕事への向き合い方:与えられた環境で夢中になれば機会が作られる
→その際、寛容さと細心さは重要

アニメ業界は辛い、貧しい、食えないと言われるが、実感は薄い

監督に重要なのは、監督になる前の生き様
例)沖浦はコンテを描いたことなかったが、TSの作り方や人への接し方を見て良く考えられる人間だと分かっていたので監督になった
監督に人格者はいない、人格者は逆に成功できない
監督に必要なのは、妄想に人を引きずり込めるか

I.Gではなぜ、押井以外の監督を発掘していったか
→押井に嫉妬させるのが目的。アニメはストレス満載で、実写へと向かう事が多いから
攻殻機動隊のTVアニメは神山に作ってもらったのはこのため

いまや、2億〜3億で作るなら、若手の方が押井より上手く作れる
→押井とその周囲のスタッフは、決して安くないため、予算の使い方が難しい

甘やかすことは為にならない
→押井「石川には騙され続けている」とまで言われている。それぐらいでいい

アジアやハリウッドを見てきて感じたのは日本の危機感の足りなさ

世界共通=人脈が大事、英語は必要だが中途半端はダメ。ヒヤリングは磨くべき
→通訳を立てた。オタクではなくアメリカの内情や気質をよく知っている通訳を選んだ

プロデューサーに求められる気質
・人が好き
・環境づくり
・逆境に負けない、強い、元気にできる→ストレスを与えるのではなくほぐせる人間

人と違うところを見る――現場を守る、出資者を守る(リクープする)
→お金は集めて半人前、返して一人前

以下質疑応答