『ストライクウィッチーズ2』第6話終了時点であまり楽しめていない理由

 今季の目玉として、大いに期待しまくっていた『ストライクウィッチーズ2』ですが、何故かあまり楽しめていない状態です。
 というわけで、理由を考えてみました。

1. 各話ごとの印象
 まずは、どこらへんから首をひねり始めたか、ということです。なので、6話まで振り返ってみましょう。
(1) 第1話「再び空へ」
 良かったです。芳佳も美緒もみっちゃんもらしい行動をとっていましたし、主人公の芳佳の動機がもはやそのままはっきりと明示されているのも良かった。
 今までのネウロイを倒して、巨大ネウロイが出現、これにより、ネウロイとの交渉は中断。ここは、「1期でやってきたことはなんだったのか……」にならないかなと少しだけ心配しましたが、何か意図があってやったのだろうと考え、あまり気にしませんでした。
(2) 第2話「伝説の魔女達」
 この回も良かったです。いよいよ始まるんだといった感じでした。
 続々と集結していくシーンは堪りません。
 一つ気になったとすれば、新しい登場人物が一人として出てこないことですが、既存の登場人物で十分と考えたんだろうから、お手並み拝見。
(3) 第3話「一緒にできること」
 箒に乗って空を飛ぶ回。
 ベッドに刻まれた文字に味があり、半分お馬鹿な回でしたが、歴史を感じさせてくれたので良し。
(4) 第4話「かたい、はやい、ものすご〜い」
 新兵器「ジェットストライカー」登場。ウィッチ関連の技術も日進月歩。
 ただし、まだまだ問題点は山積みの試作品。最後にエーリカ妹のウルスラが「すまゆる」ぐらいの試作品でした。まあでも、使いようによっては、これでも十分使える気がしないでもありません。
 ジェットがあれば戦局が変わると言ったわりに、今どんな戦局か今ひとつ分からない印象でした。
(5) 第5話「私のロマーニャ
 ルッキーニが皇女殿下(ルッキーニは知らない)を観光案内して、知らぬ間に皇女殿下とパイプを作ってしまう回。代償として散財しました。
 ロマーニャ全体にネウロイの脅威が及んでるのかなとも思いましたが、劇中ではさほど描写を見ることはありませんでした。
 何か違うと本格的に『ストウィ2』へ首を傾げ始めた回。気になった点については後述します。
(6) 第6話「空より高く」
 そして問題の第6話。いわゆるエイラーニャ回です。
 1話単体の出来が良くないことから始まって、2期全体への不満が一気に出てくる回でした。詳細については後述します。


 以上のように、第1~2話までは全く問題なく、積み重ねていくごとに不満を感じ始めたということです。全部が全部駄目だったと考えているわけではないことを注記しておきます。


2. 第5話及び第6話で気になった点
(1) 第5話
 「これではただの観光案内じゃないか」
というのが、私の持った疑問でした。微かに、子供たちと遊ぶシーンも見られましたが、何の脈絡もなくPV調で流されても心に残るものはありません。
 名所案内が悪いとは言いません。でも、名所案内で「守りたい世界」が表現できてるのか甚だ疑問です。酷く大雑把な考えですが

  • 「人」
  • 「モノ」
  • 「文化」

の3点があり、これらが有機的に繋がって1つの都市、国、「守りたい世界」を形成しているはずです。「モノ」から入り、「モノ」だけ映されても首を傾げざるをえないのです。
 むしろ、「人」から入り、「人」のみを描く方がまだ説得力があったと思います。「モノ」「文化」は結局人が育んでいく対象だからです。
 その上、こちらの方が。ルッキーニらしさが出るんじゃないでしょうか。何たって副題が「私のロマーニャ」なのです。「私の」というぐらいで、それが単なる名所案内としたらそれは非常に悲しむべきことじゃないでしょうか。そんなものはガイドマップに任せておいて十分な事項ですから。
 更に言えば、「人」を描いてくれないと、現況が全くわからないのです。ロマーニャネウロイが侵攻している事実があるとすれば、何らかの形で都市に異変が起こっているはずなのです。その違和感を映しだしてくれなければさっぱり分かりませんし、何を守りたいのかを明確に感じ取ることができないのです。
 これが第5話で気になった点でした。
 最後に書いた「守りたい対象」の描写不足はもう一度、最後に書きます。

(2) 第6話
 第6話では「エイラーニャ=エイラ」なんじゃないかという疑問が出てきました。
 逆に言えば、エイラ個人の魅力を殆ど表現出来ていない、エイラは1人の登場人物として成り立っていないのではという疑問でした。強いて言えば、アバンタイトルぐらいでしょうか。
 その他の行動は、サーニャに関わるものでない限り、「?」が浮かんでしまうレベルなのです。
 一方、サーニャに関して言えば、サーニャは個人として十分に成立しているのです。1期の当初は同じぐらいの立ち位置だった。にもかかわらず、1期6話の回、そしてその後の話を経て、成長してきたわけです。
 では、サーニャとエイラの違いはどこにあるのでしょうか。これを考えてみたところ、1つの点が思い浮かびました。それは

  • 「どうしてここにいるのか」

という点です。動機が分かっていないのです。登場人物として、過去が今に繋がっている動機が示されていない(※読み取っていないなら、私の責任ですが)ので、そういえば、エイラって何で501にいるんだっけ?みたいな印象を持ってしまうのです。
 もちろん、現状「サーニャを守りたい」というものもあるとすればあるのですが、これもまた、何処に起因したものなのか分かりません。まさか、可愛いし壊れやすそうだから守ってあげたいみたいなそんな感じではないと思ってますが……。どうして守りたいんだっけと考えたところ、記憶にないのが現状です。
 要するに、サーニャなしではエイラのキャラクターが見えてこないのです。
 2期第6話がやったことは、エイラではなくエイラーニャを表現しただけでした。エイラは結局放置され、1期6話で「これがチームだ」だったのが2期6話で「誰かを守りたいっていうのが初めて分かった気がする」という謎の成長を遂げる事になってしまったのです。
 
 
3. 全体を通して気になった点
(1) ネウロイについて
 1期ではネウロイについて、断片的ながらも徐々にどういった存在なのかが示されていき、最終話に至ったわけですが、2期は現状さっぱりです。
 ただただ、その話その話に現れては501に倒されるだけの存在。正体不明の敵キャラ状態。今までより速いとか、やたらと背が高いとかそんな程度で、ネウロイが何者かさっぱりわからないのです。
 2期1話で、いきなり前回のネウロイより大きなネウロイが登場するのですが、あれは一体どこからどう現れたのか分かりません。空を見上げる少女の瞳に映る世界じゃあるまいし、いきなりバンと姿を見せられ、その後の補足もないとなると、見る側(てか私個人)としては非常に困ったことになります。
 加えて、1期のネウロイを「リセット」してしまったため、2期では1期のことはほぼないと仮定してネウロイを見ざるを得ないにもかかわらず、1話1話の積み重ねが全くなく、2期ネウロイに関して、未だ何も分かっていないのです。
 敵が見えなければ、終りが見えません。終りなき戦いを描きたいとすれば、非常に素晴らしいと思いますが、話数も限定されていることですし、そろそろ何か示してくれないと、本筋がドッチラケになってしまうのではと心配しています。
 ネウロイがあってもなくてもいいだろと言われるかもしれませんが、ネウロイが描写されないと、守りたい世界も見えてこない。だから、ネウロイについて語ってもらわなければ困るのです。

(2) 守りたいものの描写不足
 2期に入ってから感じるのは、「守りたいものの描写不足」です。
 テーマが「守りたいから私は飛ぶ」であるのに、何を守りたいのか、何処を守りたいのか、誰を守りたいのか、あまり描かれていません。描いたとしても第5話のような不十分な描き方となっています。
 1期ではどうだったかというと、芳佳の目を通して、あるいは他の登場人物を通して、各登場人物の過去や今守りたいものが描かれていました。
 更に、1期は比較的外にも開かれた話が多かったのにもかかわらず(ボソリと呟くだけのシーンであっても)、2期は内輪でワイワイガヤガヤする話が多くなっています。これもまた、守りたいものがなんだったか分からなくする結果を招いているように思われます。


4. 2期6話までを通しての感想
 敵も守る対象も、つまり目標が不明瞭で、その上閉じた話が多く……と何でこうなったんだろうと思っています。
 1期では魅力的な、いや今でも魅力的な登場人物揃いでした。ただ、魅力的な描かれ方はされていません。
 私の考えとして、「可愛くするのではなく、可愛くなる」というものがあります。意味としては、「萌える」というのがなぜ「萌える」なのかというのと同様です。「萌える」は「萌やす」となりません。あくまでも、設定から話からキャラの仕草や行動から、全てをひっくるめた結果としてあります。だから「萌える」です。
 是非、残り少ない話数で「萌える」話を作ってほしいものです。
 まあ、お姉ちゃんは可愛いですけどね。