『フタガミ☆ダブル』矢吹健太朗(著)(WJ2010年05・06号収録)

 「BLACK CAT」と「ToLOVEる −とらぶる−」をくっつけて割ったらこんな感じ?
 な『フタガミダブル』
 書いている人は黒猫ほとんど読んだ事ないですけどね!


1.話
 まず、大まかな話の内容。
(1)概要
 平凡な中学生、双神想介は奇妙なことを耳にする。
 それは、自分の姿を見かけたという話。自身がその場所にいた覚えがないにも関わらず。
 訳が分からず困惑する双神。そこに現れたのが雨音結花。
 双神の様子を見て確信した雨音は、彼に奇妙な現象の原因を話すのだった。


(2)設定
・「思念」
 人に元来備わっている力。強力であれば物理法則をねじ曲げることすら可能。
 日々、人は思念を放出しながら生活している(恐らくは欲望やら思考やらそういったものとして)。
・「幻人(イド)」
 とりわけ密度の濃い残留思念の集合体が具現化したものである。多感な10代の時に生まれやすい。
 本人が行ったことのある場所をさまよい、本体である人間が触れると消える。
・「闇落ち(ネガオチ)」
 その幻人が悪い残留思念(負の感情やら何やら)の影響を受けて、思念体まるごとがダークサイドに堕ちてしまう現象。
 闇落ちした幻人は意思を持ち、本体である人間を殺そうとする。本体を殺すことにより、本体に成り代わる。時間を経ることで成長し、ほとんど人間のようになることも。
 ただし、あくまでも思念体で構成された身体であるため、維持するためには他人の精神を喰らうことが必要となる。
 強い負の感情で形成されているため、本体である人間でも分解出来ない。思念による攻撃で倒さなければならない。
・「退治屋」
 “思念体”を操ることにより、幻人を狩る集団。


(3)登場人物
・双神想介
 主人公。
 闇落ちした幻人に命を狙われる。
 雨音のことが気になっている。
・雨音結花
 同じクラスの少女。ショートカットで、頭の左側に付けている三連の珠がついた髪留めらしきものが特徴的。
 「退治屋」の一員であり、思念体で水を操ることが出来る。
 個人的には、中学生にしては胸が大きい気がする(どうでもいい)


2.感想
 中二バトル系統のボーイ・ミーツ・ガールものです。
 「おもしれー」とは言い切れませんけど、読み切りの纏まり感は結構あるんじゃないでしょうか。話の進め方、まとめ方も悪くありません。その点では高評価。
 ただ、ちょっと雨音の性格が掴みきれませんでした。ブレというわけではなくて、捉えづらいなぁと。まあ、ページ数の問題もありますが
 雨音のキャラデザは好み。
 あんまり雨音雨音言ってると、どっちが名前かわからなくなりますね。


 主人公が最後、幻人の中に意識を潜り込ませて意思を備えた思念体そのものになります。そして、敵の幻人を倒すわけですが、そのときの主人公の姿がリボーンな感じでスーパーサイヤ人な風に。
 リボーン読んでないんで、かなり勘違いしている可能性が大です。


 黒猫+とらぶるを想起させてしまうあたり、ちょっとどうかなと思うところがあります。
 この設定なら、いっそ邪馬台幻想記の時代設定も混ぜちゃえばよかったのでは?と思いました。


 総評すると、作者の能力のベンチマークな漫画でした。
 話としては、このまま連載で読みたいかと言うと、それほどでもありませんでした。
 とらぶるのように良い脚本家と二人三脚で描いていけるならば、そちらの方が良いんじゃないかと考えます。
 描きたい世界観を共に組み立てて、方向性を適宜修正しつつ、設定考証も正確にしてくれるようなパートナーが居てくれるならもっと新しい方向が出て、今回の作品よりも良い出来の漫画が読めそうな気がします。

邪馬台幻想記 (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 や 34-13)

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