『しましま曜日』全2巻 竹本泉(著)

 第4弾はしましま曜日。これは結構有名な漫画だと思います。
 んなわけで紹介。


1. 概要
 まずは内容紹介から。
 公式なアオリをつなぎ合わせると
 「服に着られる(?)女の子、宮崎ゆかりと友人たちが繰り広げる学園ラブコメな元祖コスプレ(?)まんが」
となっております。
 大体合ってるんではないかと。


2. 登場人物
 主要登場人物は4人。開始当初は全員高校1年生。
(1)宮崎ゆかり
 服に着られる(?)女の子。つまり、着ている服によってキャラクターが変わってしまうというとんでもない性格の女の子。
 その原因は、両親による厳しいしつけの結果、とても優柔不断な性格に育ってしまったから。
 ――ここは雑感ですけど、ちょっと変な形で考えると、社会問題っぽいですねこれw 両親が厳しいから、状況状況によってキャラクターを使い分ける人間ってことですし。裏設定は結構きついものがあったり無かったり――
 ただ、なんだかんだで一貫性を持っており、そのあたりで中心となる人格が存在しないということは無いらしい。
 性格の変化は、来ている服によって変わるのが中心。ただ、他にも髪の毛、アクセサリー、他人の言葉などによっても変化するようだ。
 変化した性格は、本人の持つ見識や考えに大きく左右される。例えば、ホームズや赤毛のアンなど創作上の人物がある。それが最も反映されたのが猫耳を付けるときで、妖艶な女性→化け猫→日向ぼっこする飼い猫、と3段階の変化を遂げたことも。
 美術部に所属し、活動。来ている服や環境によって絵の好みやタッチがすぐ変わってくるので小さい絵しか掛けないという悲しい側面も。
 最後に、家族構成ですが、両親のほかに弟がいるとのこと。それ以上の設定は不明。


(2)長野晃太郎
 高校1年の夏休み直前に転校してきた少年。予想通り楽しい……夏休みを送ることになった模様。
 眼鏡を掛けており、裸眼での視力は0.2の0.4とあまり良くない。
 勉強はさほど熱心でないらしく、教科書を置き勉しているみたいである。
 心配性で、やれやれと言いつつ、なんだかんだで行動に加わる。結構、流されやすい性格をしている。
 料理がそこそこ作れるようで、昼食の弁当は自分で作って持ってくることが多いらしい。
 高校1年の冬から本格的にゆかりのことを意識し始め、最後にはほぼ付き合ってるぐらいまで達した。
 音楽の趣味は変。持ち歌が『憧れのハワイ航路』や『青い山脈』とかなり古い曲だった。
 本編には未登場だが、姉がいるという設定があった。子供の頃からこき使われてきてこんな性格になった?


(3)千葉牧子
 ショートカットの女の子。ゆかりの主な友人の一人。
 お調子者で、自分から色々考えて何かしようとしている。演劇部に所属しており、たびたび部の備品を持ち出したりや演劇の代役として、ゆかりに様々なことをしている。ちなみに演劇部では演出も担当しているらしい。
 アクティブな性格をしており、アルバイトなど対外活動にも熱心。食い気もかなりあるようで、食べ物次第では手ぐらい握らせてあげてもよい、といった性格をしている模様。
 将来は玉の輿に乗るのが夢だとか、ただ博之からは就職浪人して雑誌の編集者になって婚期も遅れそうな〜〜、などと言われた。


(4)青山博之
 ゆかりの友人の一人。なんとなく脇役っぽいキャラ。
 SFや西洋文学?系統に造詣があるらしく、ゆかりの勘違いに度々突っ込みを行なったり、あまり理解されないSFネタを喋ったりする。
 多趣味なのか、かなりの雑学知識を保有している模様。
 牧子とは気の置けない関係。大食らいを止めてもう少し胸が大きくなったら付き合ってやらないこともない、とのこと(博之の上着を着たゆかり曰く)。多少は当たっているらしい。


3. ストーリー
 全30話。時間軸に合わせて進行していく話と、全く関係の無いエピソードが混じっている。現代の時間軸での話は、高校1年の夏休み直前、2学期の開始から始まり、卒業間近の高校3年の1月?ぐらいに終わる。
 1話に一つか二つ、コスプレをしている。というか、「キャラなり」(しゅごキャラのじゃなく、純粋にキャラになりきるといった意味で)といったほうが近いかもしれない。
 話の構成は、何かちょっとした変化がある→ゆかりがそれによってキャラなりする→終わる、といったもの。あんまり落ちてないことがおおい。
 ゆかりと晃太郎の恋愛面は比較的描かれることが多く、2巻になると肉体的接触も増えていった。もちろん全く卑猥な要素を含んでいないのだが。


 以下では、全30話のコスプレと簡単な紹介を。
第1巻

第1話 よれよれ・アクティブ・ノーマル
 高校1年の夏休み直前に転校してきた晃太郎は、眼鏡をかけた埃っぽい少女の隣の席になる。その後、夏休みにゆかり、牧子、博之と知り合いとなり、2学期になってゆかりと再び会うことになるのだが、全く印象が違っていて……。
第2話 海賊・看護婦さん
 服に着られるゆかりに驚いた晃太郎。服に合わせて色んな性格になりきるゆかりを見て、試しに海賊みたいな帽子をかぶせてみると……。
第3話 名探偵ホームズ・怪盗ルパン
 ある日、教室内の数学の教科書が全て盗まれた。一体犯人は誰?
第4話 オリンピック選手・赤毛のアン
 秋になり、体育祭があった。
 体育祭後、日焼けでソバカスが出てしまったゆかりは、何を思ったのか……。
第5話 秘書・火星人
 2214年、宮崎ゆかりは、火星中央市市長の第二秘書をしていた。
 火星人と地球人の対立が深まる中、国連火星大使のスミス氏が行方不明になって大わらわ。
 このままでは火星と地球の間の戦争の恐れも!
 そのとき晃太郎が出した提案とは?
第6話 雪だるま・雪の女王
 冬になり、ゆかりの住む町にも記録的な大雪が。
 休校になったものの、みんな一緒に外で遊ぶことになって……。
第7話 ハンバーガー屋の店員・花売り娘
 晃太郎は思った。本当のゆかりは一体どんな女の子なのか? 本当のゆかりは無いのではないか?
 そんなある日、牧子から4人でスケートに行くことを提案されて……。
第8話 猫娘・化け猫
 ゆかりが猫を飼い始めることになった。
 猫の話題であることを思い出した牧子は、この前晃太郎が風邪で休んだときにあった話をし始め……。
第9話 活発・江戸っ子・サナトリウムの療養少女
 高校2年の春。
 春眠暁を覚えず、というのはゆかりの身にも襲い掛かり……。
第10話 お姫様・乞食・お姫様
 服に着られる性格の王女、宮崎ゆかりは申し分のないお姫様であった。
 ある日、遠乗りに出かけたゆかりは馬から落馬、そのまま川を流されて?
第11話 怪獣
 牧子が風邪をひいてしまった。
 ゆかりが代わりにアルバイトをすることになって?
第12話 英語教師・その他
 学期末なのに、ゆかりの様子があまりよれよれにならない。
 そんなある日、英語の山本先生が盲腸で入院してしまい……。
第13話 ぶどう娘・ゆかた娘
 夏休み、牧子の田舎を訪れたゆかりと友人たち。
 ここら一体は一面ぶどう農家で。
第14話 優柔不断なゆかり・決断なゆかり
 優柔不断なゆかり、自分で物を決めるのが苦手。
 そんなゆかりの性格を直そうと皆で協力することに。
第15話 天使・山の猟師・オスカルさま
 演劇部の部員が一人、盲腸で入院してしまった。
 牧子は、ゆかりを代役にと考えて……。

第2巻

第16話 普通の原始人・ターザン・怪獣王子
 ずっと昔のこと、宮崎ゆかりは服に着られる原始人の女の子だった。
 台風でがけが崩れ、ロストワールドから迷いだしてきたハジメトカゲが暴走し……。
第17話 よれよれ・ふつう・よれよれ・ふつう・ゲーマー
 最近ゆかりの様子がおかしい。
 朝よれよれの格好で学校に来て、午前中ずっとボーっとしていて、休み時間に居眠りして、放課後近くにようやく元気になる。そして放課後の付き合いが悪い。
 なんて事が毎日続いている。一体どうしてだろう?
第18話 冬の装い・クリスマス(でもふつう)
 クリスマスパーティーを牧子の家で開くことになった。
 晃太郎は3人へのプレゼントを探すことになったが?
第19話 アクティブ・宅配便
 1月の終わり、晃太郎はゆかりの様子が変だと思っていた。
 ゆかりが自分を避けているようなのだ。何かあったのだろうか?
第20話 インディアン・ダリ・手塚治虫
 美術部の作品展が近づき、ゆかりも追い込み期に突入。
 けれど、やっぱり服に着られてしまい……。
第21話 ぴかぴか制服・よれよれ体操着
 学期末だというのに、全くよれよれにならないゆかり
 その原因は?
第22話 ……カラオケモード?
 桜咲く4月はお花見の季節。
 外でお弁当、そしてカラオケ。そんな話。
第23話 有能秘書・日本作家
 新聞部にエッセイを頼まれたゆかり。
 引き受けたはいいものの……。
第24話 やさぐれ・少年
 ゆかりの学校は結構古い。特に美術室のある旧校舎はボロボロであった。
 そんなある日、飛び出た釘に引っかかって、ゆかりのスカートが破れ……。
第25話 吸血鬼
 夏休みである。花火大会である。
 花火大会が終わったあと、皆で集まると、ゆかりだけがやたらと重装備。
 どうして?
第26話 メガネ
 ゆかりは眼鏡を掛けるとき、髪を縛る。
 よれよれになっても同じ。つまり……?
第27話 コックさん(想像だけど)
 晃太郎は自分で昼食を作っているらしい。
 ある日、右手の親指を脱臼してしまった。
第28話 モデル・カメラマン
 カメラで花をとったものの、ピンボケでぼやぼや。
 博之から一眼レフカメラを紹介されたゆかりは?
第29話 ウエートレス・セーラー服・ふりそで
 文化祭、文化祭といえば模擬店、模擬店といえば当然女の子のコスプレ。
 ゆかりもその類に漏れず、コスプレしていた。
第30話 最終回なのでなし
 最終話、皆で将来を思う。


 長い……。あんまりこれやらないほうがいいのかなぁ。どうでしょう?


4. 感想
 服に着られる少女という設定。当時のことを考えると、結構斬新だった?
 正直、これどうよみたいなのもたくさんありますが、それはそれで未発達の時代でしたし、あれこれ色々やっちゃっても良かったのかなと思います。
 そして、お気楽極楽学園ラブコメ。全2巻と短いですが、時間軸の経過と恋愛感情の発展、けどあくまでコミカルに描く。わざわざ重苦しくしないあたりはさすがです。
 こうやって、昔の少女マンガっぽいところを見ていると、学園モノの18禁ゲーム(エロゲ)やギャルゲに共通する点もあるなあと思いました。少人数の場の作成と弾む会話、ちょっとずつ発展する恋愛関係。こういったありそうであまりない(というかない)学園生活は今あるフォーマットの原型なのかもしれません。
 つまり、昔の少女マンガが学園ものエロゲに繋がると……、どうでしょうねぇ。エロゲは、無駄に重苦しいエピソードを混ぜていこうとするのはどうしてなんだろうと思うときがあります。ここらへんはもう少し工夫できないものかと。


 それはそうと、ゆかりちゃんかわいいですね。
 個人的に好きなエピソードは、
 4話、7話、9話、12話、17〜19話、24話、27話と計9話。
 選出理由は、好きなコスプレ?と恋愛関係の発達するエピソードでしょうか。
 特に後者。このあたりの雰囲気を上手く出せるのは真似したいと感じています。


 そして、のちにさくらの境やてけてけマイハートでもやっているように、リアルと作中の時間軸を上手くあわせていっているのも分かりやすくていいですね。
 中々進級せずに、サザエさん時空を漂っている漫画も多いだけに、こういったきちんと年を重ねていく漫画は貴重かと。
 比較的短期で終わらせられるのなら、みんなこういうことが出来るのかな。
 あずまんが大王も同じことをやっていましたけど、学園ものだと決まった時間軸できちんと終わらせた方が分かりやすい気がします。


 どうでしょうか。ここからは総括を。
 元祖コスプレ系漫画?なんて感じもしますけど、やっぱりいつもの竹本漫画だったり。
 でも、少女マンガな雰囲気は今よりも強い気がしますね。色恋沙汰が話に上手く混ざっています。
 今はもうちょっと変度が強くて、少女マンガという趣はかなり薄れてきてることが多いですから。この前のMAGI×ESもあってもおかしくないようで、ありませんでしたし。
 その点で、少女マンガな竹本漫画としては新しい方に入っていくかもしれませんね。
 全2巻という短さ、すっきりとした終わり方。ですから、初めて読む竹本漫画としては、かなりお勧めの作品だったりします。


5. 終わり
 これにて今回も終わり。
 次はどうしましょうか……。前もっての宣言どおりのんのんじーで行きましょうか?
 多分のんのんじー。もうそろそろもう少し古い作品に触れていきたいですけど。
 まあ、のんのんじーということで。
 それではでは〜〜。

しましま曜日 (1) (Beam comix)

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