『よみきり♥もの』第1巻〜第10巻 竹本泉(著)

 唐突ですが、竹本先生の本を紹介してみたり。
 この『よみきりもの』ですが、「基本的に学園ラブコメな読みきりシリーズ」でして、コミックビームで2001年2月号から約5年間連載されました。
 竹本作品としては、新記録の全10巻という長編? でも一つ一つは読み切りだから、短編集? でも……、まあいっか。
 各作品の特徴としては、wikipediaさまの記述どおりで、

各作品の共通点は、おおよそ以下のとおり。

* ほぼ毎回、現代日本の高校が舞台
* 主な登場人物は、女子生徒1〜数名、男子生徒1〜数名で、女子だけ、または男子だけであることは無い

 まあこんな感じです。女の子一人と男の子一人の会話が中心で、そこに何人かの男女がサブで会話に加わっていくことが多いですね。
 基本的にラブコメなはずなのですが、男の子側が一方的に絡んで、女の子側が華麗にスルーな展開が多発するため、ラブ要素が相当薄いものになっていたりすることもしばしば。
 というか、ホントにこれラブコメなのだろうか……。ひょっとして学園コメディではないだろうか。ラブ要素はほとんど含まれていないような……。
 あと、重厚なストーリーを求める方には全く向きません。表紙絵を一見すれば、重厚なストーリーをガッツリ展開されても困るのはすぐ分かるのでしょうが……。


 好きなところを挙げるとすれば、独特の世界観と、たまにツボにはまるキャラ設定でしょう。
 独特な世界観については、作者の他作品を見てもほとんどがおんなじ感じですので、他作品でも十分実感できます。
 ただ、ツボにはまるキャラがたまに出てくるのは、一話毎に登場人物が変わっていくこの作品特有のものでしょう。
 つまり、世界観を堪能しつつ、たまに出てくる好みのタイプな登場人物の話に目を光らせられれば、存分に楽しめると考えます。


 欠点というと、税込756円と高い上に紙質が安いw 何でここまで安っぽい紙を使っているんだろうというところは不思議ですね。
 もう少しまともなものを使ってもいいと思うんですけどねーー。
 内容はやっぱり重厚さみたいな? 人の生き死にが如何こう? そんなのは無いので、他の作品をご覧くださいといった感じです。


 では以下では『よみきり♥もの』の全60話を二〜三行で紹介してみます。
 あと、その下には微妙に好きな話の感想を書いてみたり。
 引用っぽくしてありますが、これは区切りをつけたほうが見やすいのでこんな感じにしてみました。

第1巻
1. おんなじかんじW
 顔が全く一緒で、眼鏡をかけた双子、美夏と真夏。
 性格は違うと彼女たちは言うが本当は?
2. まんほ〜るのあう
 足元不如意で注意散漫な女の子、水巻優子。
 ある日、走っていて踏んだマンホールから「あう」という声が聞こえて……?
3. あっちの屋根 こっちの屋根
 屋上に上りたがる少女、織島みつね。
 彼女がそこで見ているものとは?
4. わらいの園
 美人で頭もよく、運動もできて性格もいい少女、長谷川笑美子。
 そんな彼女が抱える唯一の欠点とは?
5. ゆれる100万ボルト
 髪はボサボサ、服はヨレヨレ、ビン底眼鏡でとてもかわいいとはいえない、永浜忠子。
 でも、なぜか彼女は男子にモテモテで……。
 一体どうして?
6. みちのまんなかに岩
 涼宮わひろは、ばりばりでゴーゴーで身長150センチのくせに歩幅70センチな典型的な人生の調子がいい女の子。
 ある日の朝、彼女の通う道の真ん中にとても大きな岩が現われて……。


 第1巻では、5の100万ボルトと6の岩の話が好きですね。
 眼鏡を取ると美少女という単純さから一歩踏み込んでいる点。あとは岩。こんな岩のイメージから話が出来るんかいという自由さが好きです。
 

第2巻
1. 南海の季節
 遥か南に位置しつつ、地熱発電所まである。でも東京都な絶海の火山島。
 地下水は温泉、間欠泉は熱湯、湿度は90%、一年の三分の二が熱帯夜、巨大生物も出現。
 こんな島で送られる生活は?
2. にゃんこのうしろ
 ボーっとしすぎで存在感すら希薄な少女、きみじま総子。
 彼女の存在を猫たちも全く気づかない!?
3. ねむりの午後
 沢の木芝子、時も場所も選ぶことなく、いつでもどこでもうつらうつらと眠りこける女の子。
 果たして、彼女の生態とは!?
4. たべる少女ははしる少女
 小さいのに大食らい、走って走ってまた食べる。そんな女の子、郡山かすみ。
 走って食べて走って食べて、その先は?
5. あっちのやね、こっちのやね
 アップルパラダイスでおなじみの三人娘、まりあん、京子、絵理子。
 まりあんが時計塔の頂上に上ると、いつもそこには人がいて……。
 しかも手を振ると振り返してきて……。
6. 目も流れるみたいな
 いかにも気が強そうで、手が早そうで、負けず嫌いそうで、ちゃきちゃきでばりばりで、がははでどってんばってん、男の子を殴るときはげんこつだろうなーと思われそうな外見をしている少女、三道館スミレ。
 その実は、まあそのままなのだが……。
 しかし、そんなスミレにも一つだけ弱点があり……。


 第2巻だと3と4。
 学生時代は、いつまでたっても眠気が取れないときがありましたねぇ。あれって逆に寝すぎて眠くなるみたいな……。寝疲れは絶対あると思います。
 小ぢんまりとしているけど元気いっぱいの女の子は好きですね。それでいて大雑把。自分に元気が欠けているから、憧れの対象な感じ?

第3巻
1. うさぎのお屋敷
 鈴木宇さ美はいかにも狭くて小さくて、隅っこなところが好きそうな女の子。
 で、実際そのとおりなわけだけど……。
2. おもいあし
 箱崎みなとは遅刻常習魔。遅れる理由は足が重いから。
 普段はそんなことが無いのに、一体どうして?
3. 遠くの呼び声
 耳そうじ、しかも他人の耳のそうじが趣味の少女、都重畑絵。
 女の子に耳そうじをしてもらうのは嬉しいはずなのに、皆が嫌がるそのわけは?
4. さまよえる王様
 徹底的な方向音痴、青島城子。
 彼女が道に迷う原因とは?
5. ねこだまり ねこどなり
 傍目からみると何も考えていなさそうな少女、きみじま総子(再登場)
 飼っている猫のタマの後ろを追ってみたところ……。
6. ブックスパラダイス vol.1
 図書愛好倶楽部の一員である森永う子。
 彼女らが管轄する学校の敷地の外れにある第二図書館では色々と不思議なことが……。
7. ブックスパラダイス vol.2
 最近、鍵の入った不思議な本がたくさん見つかって……。


 これはやっぱり耳掃除回でしょう。耳掃除を趣味にすると、逆に自分の耳だと楽しくなくなるんですよね。取る耳垢が無くなっちゃうからw

第4巻
1. わきあがる想い
 岸島慶子は人の後頭部を見つめる女。そして、しばらくしてからため息をつく女。
 どうしてそんな行動を取るのだろう。
2. あなとかいろいろ
 プールから妙な話、変なこと、怪しい出来事まで一つも無いとある学校。
 そんな学校にある日大穴ができて……。
3. 台風上陸少女
 十山とおるの記憶では、佐々木美鳥はとても活発な少女だった。
 しかし、今目にしている佐々木は気力とやる気が全く欠けた女の子。
 一体その記憶はどこから来たのだろう……。
4. どっちもどっちも
 富士見みほりは優柔不断な少女。
 一方、海寺まことはズバズバと物事を判断していく少年。
 二人は正反対? それとも?
5. きくばらない少女
 大雑把な女の子、佐東めぐ美。
 そんな彼女を見て……。
6. たちくらみの味
 高霧結布子はよく倒れる、すぐ倒れる、すごく倒れる女の子。
 彼女はどうして、そこまですぐ倒れるのだろう。


 ここは3と5かな。
 台風が来るとワクワクしてきます。ただ、普通の雨だと湿気からかやる気が急低下w つまり、被害が起こらない程度に台風のエネルギーを持った熱帯低気圧?がちょうど良いのかしら? 熱帯低気圧に変わりました、て言うのは力が弱まったちょうどいい程度になったってこと?
 5は第2巻の4話と合わせると個人的にいい感じなのですが。自分も結構大雑把なので通じるものがあります。もっと綿密な人間になりたいですねぇ。

第5巻
1. せきめんのすきま
 ちょっと寒さに弱いが、美人で沈着冷静で頭脳明晰な女の子、羽柴臣子。
 ただ、彼女にはちょっとしたことで動揺し、混乱しまくるという特徴があって……。
2. そらのすみ
 梅島みのりが道を歩いていると、ときどき空の隅に何かが見える。
 一体何が見えているのか?
3. ことりのす
 森山巴美の頭はバサバサでボサボサ、ブラシで梳かしてもどうにもならない状態。
 ある日、そんな彼女がショートカットにしてきて……。
4. くちをひらけば
 可愛いけど口の悪い女の子、涼木奈子。
 ガミガミと今日も悪態をついていて……。
5. ブックスパラダイス vol.3
 本が大好きな少女、森永う子。
 何回片付けても散らかってしまう本棚に隠された秘密とは?
6. もらいものに笑顔
 鳩嶋雛子は、平凡でどこにでもいそうな目立たない女の子。
 ぼよーんとふにゃーんとした彼女に隠された秘密とは?


 第5巻は1、3、4、6と好きな話が多いです。
 混乱してあわてる光景は見てて楽しいものです。ただし、20歳未満の女性に限る。それ以外が同じことすると思わずはたきたくなります。
 バサバサでボサボサな髪の毛になってみたいです。ワックスをつけてもヘタれるし、夜には油っぽくなるし。遺伝らしいですが……。
 口の悪い女の子、ただし美人に限る。そんな中、悪口の言えない状況へと移行。でもラブ展開にはならない。最後はコメディで。こんなのが好きです。
 6の話は、もらい物はうれしいですよね。でも、貰ったものが微妙だったらどう反応すればいいんだろうw

第6巻
1. かける4
 どこにでもいるごく平凡な少女、奈賀野はるみ。
 そんな彼女の学校に、三つ子の転校生がやってきて、てんやわんや。
2. 太陽から45センチ
 黒髪ロングの姫山琴子は身長141cmの小さい女の子。
 暑さが苦手な彼女は、今日も一人愚痴をこぼして……。
3. ふやけるお年頃
 浜美絵は偏執的にお風呂が好きな女の子。
 朝もお風呂、夕方もお風呂、もちろん夜もお風呂。一応学校にも行くけど……。
 そんな彼女の生活は?
4. りんごのひみつ
 聖林檎楽園学園に通う明治梅はあるちょっとしたことを不思議に思っていた。
 それは、りんごがまるで地面の上に置いてあるかのように転がっていること。
 果たして、真実やいかに!?
5. ぼんよりの連続
 桐島小島は、ぼよーんでほにゃーんでぐにゃーなお年頃。
 よれーんでへにょーんなふにゃふにゃの彼女の毎日。
6. 生徒会と奇妙な音
 てきぱきワーキンラブのキャラクターを使った話。
 最近、校舎や校庭で鳴り響く奇妙な音の正体とは?


 第6巻は、3と5かな。
 風呂に長い間入っていると、いろんなことを風呂場でやり始めますね。ただ、夏場はすぐ汗だらだらになるし、冬場はお湯がすぐ冷たくなるし。春秋が一番よいかと。
 ぼんよりでぐにょーんなよれよれの生活はしてみたいものですね。今の生活が十分そうだろという突っ込みは無しで。

第7巻
1. 雪ふれば
 雪が降る冬が大好きな歌田之子、一方、寒がりで冬が嫌いな中倉保宜。
 そんな二人の対照的な生活。
2. 地の底から小生
 見た目と声に大ギャップな少女、志馬村久詩。
 小さいのに超低音の美声。ぷよぷよなのに一人称が小生。
 そんな彼女の学園生活。
3. 発熱の方角
 谷山織子は今日も始業ギリギリでの登校。今月はすでに5回も遅刻済み。
 彼女の隣にいると驚くほど、熱を感じる。果たして?
4. 天までとど…
 左崎雪子は成長期。縦へ上へとぐんぐん伸びる。
 彼女の送る、ばきばきでごきごきな毎日。
5. しとしとのつゆ
 毎日毎日止まない雨、梅雨の季節というものの止まないにも程がある。
 でも、そんな雨続きの毎日を森原あ弓は大歓迎で……。
6. 目がさめたら朝
 寝苦しい熱帯夜が続く今日この頃、水森すみれは今日も寝不足。
 寝起きが悪いと目つきもアレなことに。最近はアレな状態のほうが多くて……。


 この巻は2です。あと6.
 小生小生でギャップ炸裂。小生、女の子。しかも低音。リリンがどうたらで素晴らしいとは思わんかね。
 6は寝苦しい話。アレなオーラを和らげるには、バイト先で寝るしかない我が家。でも昔ほど暑くなくなった気がするんですよね。最近は。寒冷化進行中?

第8巻
1. 楽でない人生
 自意識過剰で、人の目を気にしすぎて失敗を重ねてしまう女の子、潮周友紀乃。
 今日も彼女は誤解されたと勘違いしてしまい……。
2. たつはしら
 明治梅は疑問に思っていた。学園の所々に立っている柱の意味を。
 果たして、柱の謎は解き明かせるのか?
3. 神秘の秘密
 神奈島千秋、わけのわからないことを考える少女。
 考えに考えた挙句、変だったり妙だったりする結論を導き出す。
 そんな彼女を見て……。
4. 夢みる記憶
 三笠原茉莉子は夢を覚えられない女の子。
 今日も目覚めたときには、夢の内容を忘れていて……。
5. コゲたトンネル事件
 缶崎匠太郎とアンジェリケ。二人は探偵事務所の所長と助手。
 ある日、二人の小人が仕事を頼んできて?
6. 空飛ぶ郵便娘
 フエルト・春眠姫・B(ボタコタ)は火星の郵便配達娘。
 宇宙船乗り適性を持つ彼女の郵便配達とは?


 この巻は2と4.
 梅ちゃんのキャラは好きです。
 4は、パッと寝てパッと起きれるという切り替えの速さを見習いたい。どんなときでも寝床でウダウダしてしまう人生。遅刻したときだけ切り替えが早いw

第9巻
1. そこにあるゆきだるま
 大雪の朝、瀬川由貴子が登校しようとすると、なぜか家の前に雪だるまが。
 そして、しばらくすると街中に雪だるまができていて……。
2. なみだのむこうに
 世の中にはナチュラルに目つきの悪い人がいる。河川敷ひろなりもその一人。
 地顔から目つきの悪い彼の毎日は苦労が絶えず……。
3. ブックスパラダイス vol.4
 ある日、森永う子はびしょびしょになった本のアイロンがけをしていた。
 すると図書館の奥から妙な人たちがやってきて……。
4. 衝突コースの少女
 渋沢栄美、小さくて無駄にばか元気
 ただ、他人のおなかに体当たりすることが好きなのが困りどころ。
5. 眠る一等地
 伊原少年は、昼休みに毎日同じ場所で食事をし、昼寝をするのが日課
 しかし、ある日、同じ場所に同級生の大東繁美が寝ていて……。
6. 霧は深いし
 濃い霧の朝に外を歩いていると、いろんな不思議に出会う。
 ある日、藤町市太が登校していると、巨大化した瀬戸丸子を見かけて……。


 2と5でしょうか。
 表情で誤解される人は結構いると思います。自分の場合、別に怒っていないのに、なぜか怒っていると勘違いされたり、事務作業をまじめにこなしているのにやる気なさそうに見えたり。表情を作るトレーニングは学校の実習科目に加えるべきw
 眠る一等地……、欲しかったですねぇ。アスファルトとラバーしかない出身校……。

第10巻
1. 不可抗力な放射線
 地顔で損をする人もいれば、得をする人もいる。後者の例が、奈中菜々子。
 ボサボサでよれよれなのに皆に好かれる彼女の秘密。
2. ゆきだるまがやってきた
 夏休み、部活動で学校に登校途中に明治梅は、道端で溶けかけの雪だるまを見つけた。
 果たして、雪だるまの謎とは?
3. 星降るふるふるる
 ある日、来多川むつみが夜空を見上げると天の川が見えた。
 空を見上げると何かが見える?
4. うてばひびくのはともかく
 葛飾ふじ美は、頭よりも先に口が動く少女。
 話せば話すほどボロが出て、脱線する。喋らせるとかなりアレな少女だった。
5. びっくりの顔が
 神奈真子は妙に妙にだまされやすい少女。
 どうしてみんなは彼女をだまそうとするのだろう。
6. ゆきのわたり
 野澤ちひろは、最近雪が降らないことで文句タラタラ。
 理由は、全国的に豪雪なのに、家の周辺だけ中々降らないから。
 一体どうしてだろう……。


 一応の最終巻。ほとんど変わらず、よみきりものの…が続いていますけど。
 ここでは4と5です。
 口が先走った時ってのは大抵死亡フラグです。一度頭に落としてから言葉を発しましょう。でも口が先走るという現象は、ラブコメだと使い勝手良いですよね。
 騙し騙され、騙されやすい人はホントすぐ騙されますね。某大衆掲示板を使うことは出来ませんw




 以上、全10巻を振り返って見ました。
 ……長いw
 こう見ると、結構好きな話が多いですね。いや、嫌いなものが無いんですけど。
 今回はよみきりものでしたが、他にも竹本作品はたくさんあるので、ここでもじっくり紹介していきたいものです。


 それでは、また今度〜〜。うじゃうじゃ。