『ToLOVEる -とらぶる-』第155話「ドキドキ☆メール」……ではなく、OVA続編決定の話
まずは、To LOVEるOVAが3巻では飽き足らず、16〜18巻まで引き続き出るよ。ということみたいですね。
これだけ続編がさっと決まるということは、よほど集英社的にはウハウハだったのに違いありませんね。もちろん売り上げ、利益率的にということです。
講談社がOADで、集英社がOVA付コミックスと呼称の違いがありますけど、OADの方がOVAと区別しやすく、書くのが楽なので、集英社の奴もOADとしましょう。
そのOADが儲かるという点においては、先行者である『ネギま』の場合、以下のサイトで示されています。
ネギま部ろぐ! 今回のOAD企画について(転載)
赤松健先生へ直撃質問! 「従来のOVAとOADはどこが違うんですか?」 - ネギま!声援部(仮)〜我ら、白き翼のもとに〜
どちらにおいても、関係者である赤松先生の話が書かれているため、信憑性はかなり高いものなのでしょう。
それでは、ここから出版、小売、購買側の3点から少し書いてみます。
出版会社側からすると、在庫管理がしやすく、利幅も中間搾取が入らない分かなり大きいという2つの点が良いらしいですね。原作信者が一定層購入してくれることが分かっているので、事前の予算設定から、収益見込みまで立てやすいという魅力的な商品。加えて、一度出荷すれば2次出荷の準備をしなくてもよい買いきり商品であり、在庫を抱える必要がない。ある意味出荷する側とすれば、使い勝手のいい商品といってよいでしょう。
ただし、単純にコミックスの売り上げが高いからといって、OADが売れるとは限らないため、OAD化するのはDVDの購買層を考えた上で決断されます。漫画とDVDの購買比が大きくかけ離れている大ヒット作品ではなく、いわゆるキャラやエロで購入を決断してくれる層が多い作品が選ばれる率が高いみたいです。
小売側からしても、限定生産方式にして売り切れる分だけ確実に入手することはメリットがあります。将来の売り上げ予測を立てることが容易に出来ますから。もちろん、売り切れによる機会損失が発生することもあります。しかし、値引き販売が出来ない在庫を山と抱えるデメリットよりは、売り切れる分だけ発注するメリットを選ぶでしょう。
買い手としても、ある面ではメリットがあります。OADの価格は通常に比べて3000円増し、つまり3000円が30分アニメ一本の価格となるわけです。深夜アニメDVDは大体2本で6000円といったところですから、大体同じといったところでしょう。ただし、実際には、販売店での割引が10〜15%ほど発生しますので、OADは値段設定としては高めです。
それでも、OADには良い点があります。それは、「継続的な高額の出費を避けることが出来る」という点です。
なぜなら、DVDの売り上げが右肩下がりになる要因としては何よりもまず、高価格連続リリースという販売形態にあります。2話6000円×6ヶ月から3話7000円×8ヶ月、悪くすれば2話9000円×12ヶ月(恐怖の角川価格w)など長期に渡り、高額の出費を要求するシステムになっているのです。
人ひとりの購買力には限界があります。加えて、その購買力の源泉である自由に使えるお金は必ずしも一定ではありません。毎月変動しているものなのです。
他にも、消費者は移り気ということがあります。毎月、毎期たくさんのアニメが放映され、たくさんのアニメDVDが販売される中、現在購入しているアニメと放映しているアニメを比較して、購入対象を変更することだって大いにありえます。購買力には限界があるのですから、購入者がランクの低い商品は切るという決断をすることも大いにありえます。
その点は企業も承知のようで、ある程度右肩することを前提とした価格設定をしているみたいです。
そこでOADになるわけですが、週刊連載ものだと3ヶ月に1度3000円の出費になるわけです。1ヶ月に均すと1000円です。購入側にとって、さほど連続的に大きな負担をもたらすということはありません。3ヶ月に1度の3000円だったら、ある程度都合をつけて購入することができるということになります。
単価としては、通常のアニメDVDよりも高いのですが、買い手にはそれ以上の価値をもたらしているということですね。
例えるなら、DVDのコンビニ販売みたいなものでしょうか。購買層に対して、スーパーより平均単価は高くとも、それ以上に感じる値段の安さを元に購入させる、といった感じでしょうか。
一応、製作側にも触れておくと、時間的余裕がある分、クオリティを保ちやすいところが良いんじゃないかと。ただ、OADだけだと仕事量がまったく足らないので、そこらへんは別途どうにかする必要が出てきてしまうわけですが。
ここからは少し話を変えて、OADの採算ラインについて考えてみます。
OADの採算について、売り上げデータをみたところ、
・OADがオリコン計測で最低1万以上売り上げられること(採算ライン)
・2万以上でれば万々歳(利益結構出るライン)
・3万以上だと、続編をすぐに製作決定できるレベル(完勝ライン)
といったようなところになります。通常のDVDよりも採算ライン(2000、利益をがっちり抑えるには5000)は高めに設定されているように思えます。
『Kiss×sis』は3巻OADが10000ちょっとだったようです。4巻になると20000越えまで伸ばしています。2次出荷があったのかは不明ですが、10000以上売り上げた時点で、採算が取れたと見て問題はないでしょう。
『ツバサ』は2万以上売り上げており、これもまた続編が作られているみたいです。
そして、『ネギま』の場合、他よりもかなり強く、5万以上の売り上げ。さすがと言うほかありません。
これを踏まえた上で、我らがとらぶるOADについて考えてみると、オリコン計測初週28000程度ですので、大体30000以上35000未満の売り上げになっていると考えられます。
つまり、完勝なわけです。そりゃOADの続き作りますよね。
最後に、今後のとらぶるOVA続編について、自分の感想と願望。
正直、一話一話が繋がっていないということが不満です。そりゃとらぶるのストーリーは一話完結のものが多いです。しかし、俯瞰的に見れば、話が進むごとにキャラクターの変化は確実に発生していますし、ストーリー自体も前後の脈絡が取れているわけです。
それをぶつ切りでやられても困るなあと。ある程度は流れがあるわけですから、その流れに沿って問題なく進めていってほしいと思っています。
例えば、OAD2巻(14巻限定版)の美柑の話。一応、理由づけはなされていましたけど、ちょっと弱いんじゃないかと考え、感想でも書きました。まあ、あれは、美柑がブルーデイ(blue day:セクハラにもほどがあるので、使わないようにしましょう)でしたとかなら、納得するんですが。脈絡なく気分悪くされても見ている側としても、反応しづらいのですね。
いやでも、そうか……、今そんな理屈を思いついたのですが、美柑が……ほほう。ああそうか……、そういうことだったのか……。なんか妙に納得してしまった。あとすごくワクワクしてきた。
つまり、赤飯を準備すればよかったということですね?
と、それは置いといて、今度の3巻はある程度繋がっていたり、最低でも前後の脈絡が取れていたりするものがいいなあと期待しているのです。
だから最近、美柑があんなことになったり、こんなことになったり、そんなことをしたり、あんなふうになったりしたのですね?
個人的により結論に至ったところでまた次回、というか今回。
最近の美柑の家の嫁度は異常すぎると思う今回の外の嫁回でした。
詳しくは今度。