『ToLOVEる -とらぶる-』14巻限定版のDVDアニメ「リトと美柑」

 To LOVEるOVA2巻の感想ですが……、待望の長谷見脚本、しかしちょっと微妙な出来でした。
 その原因は、良い要素と悪い要素が混じっていて、もう一つグイッと来るものが無かったことだと考えられます。まずここからあつかってみましょう
 良い要素と悪い要素はキャラで分別できます。
 良い要素というのは
・ 美柑の扱い方
・ ヤミの扱い方
・ 春菜の扱い方
でして、一方悪い要素は
・ ララの扱い方
ですね。
 他にも、沙姫、唯などもいましたが、直接的に話に絡んでこないので、特段良い悪いということを判断するには至りませんでした。
 
 
 んではまず、良い点から
 まず、美柑の扱い方です。これは全体的に見れば、それなりのものだったように思えます。原作73話のように不満の蓄積が表現できないという点を、過去の記憶と年代特有?のモヤモヤ感で補ってきたところはさすがです。その後の怒り表現もそれほど問題ありませんでした。ただ、その切欠となる部分には不満が残るのですが、こちらは後述します。
 ヤミとの会話での等身大としての自覚、漫画版では見られなかったところです。これもなかなか高得点。そして、最後のリトとのシーンに移るわけですが、「兄妹揃って」の部分は良かったかなと。まあここは原作どおりなんですが。
 ただ、公園はちょっと突っ込みすぎじゃないかなぁと思いました。原作104話から引っ張ってきたのが分かりますが、あの場面であそこまで言わせるのは性急に過ぎるのではないかなと。まあ、OVAという観点から考えて、入れるべき要素はなるべく突っ込んでおくほうがいいんでしょうけれども……、ここは時間軸的に抑えても良い場面だったと考えました。
 私的に言うと、このあたりから段々とたがが外れていくところに面白みを感じているので、ここはまだ抑えておいて、次に引っ張っていくのも良かったのではと思います。


 次はヤミです。これは実に良い使い方だったな〜と思います。原作だとまだこの時期はさして仲が進展してない状態でしたから、登場することはありませんでした。しかしこのOVAではある程度進展した状態から話を始めることが出来ていますので、すぐにリトを持ってくるのではなく、ヤミを持ってくることによって、第三者的視点から美柑のキャラ自体を見直すことが出来たところは上手くいったのではないでしょうか。やたらと大人びた設定をもう一度見直してみる。ここは原作でもあまり描かれていない場所でしたので、今回のOVAは非常に良い機会になったのではないかなと。
 ただ、ちょっとヤミのキャラが柔らかすぎかななんて思ったりもします。でも、仲自体がきちんと成り立っているのならば、これもこれで悪くないでしょう。そして、最後の空気の読み方が異常w 帰っていくところはとても可愛かったです、ハイ。


 最後に春菜。チョイキャラとしての扱いでしたが、扱い自体は良かったと思います。沙姫や唯と違って、むやみやたらにコメディ描写に混ぜると違和感が生じてしまうことが多いので、ここに持ってきたのは良判断。これまた別の視点からの姉妹、加えて妹という別の立場からの視点を供給できたのは、話の作り方からしても上手く出来ていました。
 春菜(妹)→リト(兄)
 ヤミ(無し)→美柑(妹)
といったところで、それぞれ、リトと美柑が元に戻るまでにクッションを提示し、極めて柔らかな着地点を設定することが出来たのは非常に良かったと考えました。
 ただ、やっぱり登場時間が短いので、個別キャラ層へのアピール度は低かったかもしれません。でも、個人的には強引に引っ張ってくるよりも、崩さない程度に役割を与えられているほうが好みですので、今回の春菜の扱いには特に不満はありません。


 で、悪いほうに入るわけですが、まあララですね。ララの扱いはほんとアニメだと良くないです。というか悪いです。以下では、あんまり良いことは書いていないので、この段落を飛ばすことをお勧めします
 今回のも、前半の扱いがどうにもこうにも。天然というよりも作為的というか、単なるアホの子になっているというか、なんかちょっと鬱陶しいキャラになっちゃってる印象があります。アニメ媒体で表現するのが難しいキャラなんでしょうか。
 その原因は、やはり、ララのトラブルメーカーとしてのあり方だと思います。
 もちろん、漫画でもアニメでもトラブルの原因を作るのはララであることは多いです。しかし、アニメだと動きと声が合わさって、そのトラブル要素が増幅されて伝わっているように感じます。
 今回の話でも、ララのトラブルメーカーが原因、もしくは切欠でした。美柑の底に横たわっている記憶というのも要因の一つでしょうが、あくまで切欠はララになっていました。そして、先ほど書いたようにアニメのため、このトラブル要素がこちらに対して強く伝わってしまう。結果、漫画上で与える印象よりもいまいち良くない印象を覚えてしまいます。
 ここから考えるに、何とか他の要因を作って、美柑の苛立ちを爆発させるべきだったのではないかなと。しかし、じゃあ具体的にお前の考えはあるのか、と問われれば、限られたOVAの時間内でそんな上手い考えを思いつくわけでもないんです。でも、兎に角、もう少し何とかならないものかなと。漫画と違って、キャラが画面上で動いて、声を出すわけです。これら二つの点でキャラ自体の個性が強く表現されてしまう。この点を考慮に入れないと、結果的に個性が強く出すぎて、鬱陶しいキャラが作り出されてしまうのではと。
 私は、ララがとらぶるの生命線だと考えています。使い勝手が良いように見えて、一番使いづらいヒロイン、ララを如何に扱うか、これが面白さの鍵につながるのではと思います。話の中において、どんな役割をどんな風にどのようにさせるか、単なるトラブルメーカーでも、ただそこにいるだけでもなく、どのように扱うか、ここが重要なんじゃないかなと考えています。
 最後に雪を降らせる役回りは、悪くありませんでしたが、前半部の扱いがいまいちでしたので、どうにも当が行かなかった気もします。何だかんだで積み重ねが出来る漫画と、TVアニメやOVAとは根本的に違うのかもしれませんが、何とかなってほしいと思っています。


 ではここからはその他の感想。
 料理対決……、太田……、ここから生み出されてくるものは一つしかないっ!!。
 ああキャベツ……、消せない記憶、もう許してください。
 その私的絶対に許さない候補wの太田さんがコンテ演出でしたが、さすがドタバタには定評があるように、キャラが良く動く原作ですのでそれほど悪いわけではありませんでした。むしろ良かったと思います。
 作画も特に問題なく、内容的にも微妙に幼くした幹事が上手くは待っているのではと思います。
 沙姫の扱いはこうでもしないと出てこないですから、まあ仕方ないでしょう。リトの沙姫への口調は一応敬語だったような、タメ口だったけどあれでよいのかな。マヨネーズは笑えました。
 唯は今回の話から考えれば、このあたりが順当なライン。お色気担当になるのは妥当だと思います。でも兄妹的視点からの登場も悪くはなかったか?いやしかし、存在を知らないわけだから……、唯が無闇に家の話をするとも思えないし。まあやはり妥当なとこですね。
 ルンやお静、御門先生に出番はありませんでした。ルンは前回も扱いが悪かったので、次回こそいい役回りを与えてほしいものです。


 では、そろそろ締め。
 今回の巻は、良いところと悪いところが混在していましたが、全体的に言えば悪くない出来だと思います。前半パートが今一つですけど、中盤から後半の美柑を中心としたパートはかなりいい感じに仕上がっています。
 美柑、ヤミ、春菜が好きな人はどうぞ、沙姫、唯が好きな人にはそれなりに、ララが好きな人には前半部はん〜〜と、ルン、お静、御門先生が好きな人には残念ですが……、まあこんな感じですね。
 私は特定のキャラ重視というわけではないので何でもOKみたいな。
 今回はこの辺で、次回はいつになるんでしょうね。一つの感想書くのに一時間以上掛けてるからもう少し短縮したいなあ。

To LOVEる -とらぶる- (14) (ジャンプコミックス)

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