『ToLOVEる -とらぶる-』第121話 メタモルフォーゼ

 内容見たとき、やっぱり、と思いました。
 常々考えていたのですが、やはり美柑の学校生活を描くのは無理な気がするのです。
 今回はそれについて書いてみます。


 まず2つ、理由を。
(1) 美柑の設定
 まず美柑の設定です。
 美柑は便宜上小学生という設定になっています。しかし、小学生らしくない小学生だと思います。
 シリーズ通じての美柑の行動や言動を見る限り、中学生でも高校生でも問題は無い。極端に言うと、リトの双子で中高一貫女子高に通っていても、おかしくないぐらいです。
 一言で表すと、年齢の割に大人びすぎているのです。
 ややもすれば、リトやララより年長でも構わない。それほど普段の登場では精神年齢が高い。珠に焦点を当ててもらえる回で、ほんの少し弱さを見せたりもしますが、大体においては一番精神年齢が上です。
 更に、器量もいい。ぶっちゃけ、家を支えているのはどう見ても美柑です。両親が不在なことが多く、リトやララの能力に期待が持てない中、買い物から、掃除、洗濯、料理に至り、家計管理にいたっても一任されていたとしてもおかしくありません。
 終には、頭が良く、運動が苦手というわけでもない。そして、何よりも可愛い。一体どこのスーパー小学生だよ、となってしまうのです。
 で、そんな美柑が小学校に行ったとして、そこで何が描けるかといえば、悩まざるを得ないわけです。まさか失敗するようなことがあるわけでもなし、といっても学校で上手くやっています、ではネタにも何にもなやしない。病気ネタ、学校関係なくね?というか何時ぞや使ったなぁ、と。
 要するに、非常に作りにくいのです。
 そこに、更なる要素が一層面倒にさせてしまっています。それが、次です。
(2) To LOVEるの縛り
 とらぶるには当然縛りがあるわけです。勿論肉体的なことではありません。話の内容を作る上での制限です。
 端的に言えば、「ヒロインに対して、無闇に引っ付いてくるような男を出さない」です。
 つまり、小学校において、美柑に寄ってくる男(名前付き)は一切出せないわけです。
 話は変わりますが、『しゅごキャラ』の主人公である日奈森あむの場合だと、こういった問題は無いのです。この作品自体きちんと腰を据えて読んだわけではないのですけれども、彼女自身も大人びた、もしくは周囲に大人びていると見られているという設定だったはずです。この点は美柑に似ています。しかし、彼女は主人公立場、とらぶるでいえばリトの立場にいるため、周囲に格好いい男たちを次々と出していくことが可能なのです。彼らと話を展開させることができるのです。
 美柑は異なる立場にいます。出すことができません。今回の話において、「男子にモテモテ」という名無しキャラの発言がありました。考えるに、ここが限界でしょう。これ以上踏み込むととらぶるがとらぶるでは無くなってしまいます。
 また話が『しゅごキャラ』になりますが、時たまネット上に見かける「あむビッチ可愛い」は良いのです。そういった存在であり、尚且つ可愛い。ただのビッチではなく、可愛いビッチ。きちんと描けているのですから、これは勝利といってもいいでしょう。
 とらぶるだと、駄目です。ヒロインと絡むのは基本的にリトのみで、周囲の男はボケ要員か話の盛り上げ役が精々でしょう(秋穂や遊みたいに最初からリトから離れているのは問題ない)。美柑はリト周辺ヒロインの位置に属しているので、他の男を無闇に出すことはできません。出してくっつけたりなんかしたら、その時点で負けです。アニメとらぶるやキャベツと同じぐらいにアウトになってしまうのです。
 長々と書いたのをまとめますと、小学校における美柑の交友関係においては基本、男子禁制ということになります。
(3) ヤミの存在
 予定には入っていませんでしたが、続きです
 男が出せないのなら、では女ならどうか。当然こういった話になるでしょう。
 しかし、美柑の場合、小学校の親しい友達として女子を出すことさえもできないと考えられます。
 理由は、ヤミがいるからです。
 美柑とほぼ同年代の女友達の位置で、ヤミが存在しています。勿論ヤミの年齢が如何程なのかは分かりません。それは今回問題にはなりません。重要なのは、同年代というところにあります。
 同じぐらいの目線でものを見ることが可能で、且つ両者がともに相手を重要な友達だと考えている、この関係、美柑とヤミの関係はとらぶる内においてかなりウエートの高い事項なはずです。
 そこに美柑の学校生活を挿入するとどうなるでしょうか。小学校内ではヤミは現れることはできません。となると、美柑とその他名無し友人ズとの絡みだけで話が進ませることになってしまう。結果、美柑とヤミの友人関係が美柑と名無し友人ズの関係と左程変わりの無いものとなる。軽くなってしまう可能性があるのです。
 よって、名無しキャラ女を友人として出すことも難しいのです。
 

(4) まとめ 
 以上の理由で、美柑の学校生活が詳しく描かれることはそうそう無いのではと思います。
 どうにかして探すと、小学校の運動会とか?それで何とか描けるぐらいではないでしょうか。これでも大分きついかなあと。
 やはり、リトを中心とする高校メンバーと絡ませていくことで美柑の存在を描いていくのが最も効果的でしょうか。
 他にはナナとモモが来て、美柑と絡むか、と思いましたけど、ナナは春菜に接近していますし、モモも出番が少なそうで彼女たちとの話も多くは望めなさそうです。
 こうなったら、スピンオフさせて『魔法少女トラブルみかん』でもやる?