『日本史講義 時代の特徴と展開(駿台文庫)』
1. 概略
2002年に亡くなられた元駿台講師の安藤達朗先生の著書。
これは全5巻の内の第2巻だった本。しかし、他の4冊は全て絶版になったため、現在この本だけが独立して売られている。
歴史学の成果の中で重要な事項を抽象し、日本史の「基本」を身につけることに重点が置かれている。
2. 構成
前書きと本編全9章で構成。
前書きは、歴史の「基本」と表題が付けられ、近代科学の「仮説演繹法」と歴史学との関係が書かれている。
本編は左ページに主文、右ページに補足説明というレイアウト。
各章のテーマは以下の通り、
第1章 大和政権から律令国家へ
第2章 班田収授法とその崩壊
第3章 荘園制と武家政権
第4章 日本史と封建制度
第5章 幕藩体制の成立と構造
第6章 商品流通の展開
第7章 近代の成立
第8章 日清戦争と日露戦争
第9章 経済の発展
それぞれの章末に、その章と関係する論述問題が1題、解説されている。
3. 評価
(1) 長所
- 日本史を理解することができる
- 理解を問題として出題される論述問題への対策になる
(2) 短所
- センターを軽々解ける程度の基礎力が必要
- 著者が亡くなられているため、更新されることが無い
(3) 総合評価と感想
高校で日本史が得意な人にはぜひ読んで欲しい1冊。
歴史を有機的に理解でき、事項と事項の繋がりが見えてくる。この本で取り扱われているのは本当に重要なことばかりであるため、通史理解を深めるにも大きく効果を発揮する。
まず右ページを読んで、ざっとおさらいをしてから、左ページの主文へと取り掛かっていくのがお勧め。1章ずつまとめて一気に読んだほうが良い。
私大によく見られる暗記重視の論述問題には向いていない。しかし、読んでおくと書きやすくなる可能性はある。国公立に見られる理解重視の論述問題を解く受験生には漏れなく勧める。
あくまで理解するためのサブテキスト。基礎の通史理解は別の本を利用する。だが、同著者の『大学への日本史』はかなり古い(内容は面白い)のでお勧めできない。まあそもそも中々売っていないのだが。
点数は85点、日本史選択なら読むべし。
- 作者: 安藤達朗
- 出版社/メーカー: 駿台文庫
- 発売日: 1994/09/01
- メディア: 単行本
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